その日は突然やってきた。
来週のクリスマスパーティーは“ちゃんとした服”でよろしく。
これドレスコード。
え…
かくして、私は“ちゃんとした服“を求めてバギオの街をさまよい歩くのであった…。
ドレスコードがあるパーティー
2024年12月、世間はクリスマス一色。ここフィリピンにおいては、クリスマスこそが1年で一番盛り上がるイベントで間違いない。
街中がイルミネーションで溢れ、まさにお祭りモード。フィリピンの国民的チェーン店、ジョリビーだってこの通りクリスマス仕様になっている。
そんな時には決まってパーティーが行われる。さすがは、集まってワイワイするのが大好きなフィリピンの国民性である。
もちろん、1回騒いで終わりなんてことはあり得ない。私が居座っているバギオ市内の語学学校では、1ヵ月に3回もクリスマスパーティーが行われた。
実は、これにはちょっとした事情がある。語学学校となれば色々なポジションの人がいる訳で、全員一緒くたに参加することは難しい。
そこで、生徒用・先生用・スタッフ用と分けて実施する必要があるのだ。立場上、私は3つ全てのパーティーに参加することが許された。
この中で、冒頭のドレスコードが求められたのは、先生用のクリスマスパーティーであった。
ドレスコードは突然に…
パーティーの日程については、かなり早い段階から既に決まっていた。こういう時だけはフィリピンとは思えない段取りの良さである。
ただ、内容や詳細は特に決まっていない。「To be determined, po(まだ決まっていないよ)」だった。
イメージとして、学校の一区画にみんなで集まってオードブルやお菓子・ジュースなんかをつまみつつ、演目を楽しむ。という感じかなと予想。
ところが、後から出てきた情報を見て驚愕。なんと会場はホテルの宴会場。しかも学校から車で45分ほどかかる、ちゃんとしたホテルなのだ。
平日、全ての授業が終わらせた後、19時ごろから深夜まで実施とのこと。
「思ったより凄いことになりそう」と思っていたところに飛び込んできたのが、例のドレスコードのお知らせだったのだ。
ドレスコードの詳細
ドレスコードの案内を再度確認。
よくよく見ると、推奨されているのはスーツでは無くタキシード。蝶ネクタイとかコサージュとか、日本ではイベントの司会者しかしないような装い。
ただ、実際のところは黒のフォーマルウェアならOKらしい。さすがにタキシードの着こなしについては造詣が深くないので、サラリーマン時代に着慣れたスーツで行くことに。
しかし、日本で着ていたスーツなんて持ってきている訳も無い。ということで、現地にてスーツを手配する方針へシフト。パーティーは約2週間後、すぐに準備に取り掛からねば。
バギオでスーツを見つける
スーツを用意するにあたり、考えられる選択肢は以下の3つ。
- 買う
- 借りる(無償)
- 借りる(有償)
選択肢①買う
SMモールで調べてみたところ、新品のジャケット3,500ペソ、スラックス2,000ペソ。合計5,500ペソ(約15,000円)といった具合。
今後の使用機会とかかる金額を天秤にかけた結果、断念。
月1ペースで利用するなら購入も十分あり。ただ、今のところパーティー以降の予定は無く、金額分の価値を見出せず、見送り。
・借りる(無償)
「借りる(無償)」というのは、友人から借りようという作戦のこと。バギオの人たちは私と同じような体系なので、サイズ感的に問題はなさそう。
私の周りの人たちもイベントが大好きなので、だいたいの人がフォーマル衣装を所持している。ただ、自分用の1点もののみ。
そんな唯一の一張羅を借りることは出来ないので、こちらも断念。
・借りる(有償)
第3の選択肢はレンタルサービスを利用すること。もういっそ諦めるか…という考えもよぎったが、せっかくなので、衣装レンタルにも挑戦してみた、というのが今回の流れ。
ただ、ここはフィリピン。ウェブサイトで検索しようにも、情報は簡単には見つけられない。
ちなみにGoogle map上で「RENTAL CLOTH」と検索した結果は上のような感じ。
いくつか候補は上がってくるが、営業しているのかすら怪しい…。
自力で探すのは早々に諦め、周りの同僚たちに聞いてみる。
みな口を揃えて言うのは「レンタル衣装と言えば”Maharlika”」。という訳で、今回の目的地がMaharlikaになったのである。
Maharlikaとは?
Maharlika Livelihood Centerは古いショッピングモール。立地はこれ以上ないくらいの一等地。まさにバギオの中心にあると言っても差し支えない。
ただ、他のショッピングモールとは異なる独特の雰囲気がある。暗くて埃っぽい、なんとなくアングラ感の漂う地元民向けの施設。
留学生が訪れることはほとんどないだろう。私自身も長らくブログを書いていながら、行ったことが無かった。
今回、パーティー用の衣装をレンタルするというはっきりとした目標のおかげで、初めてMaharlikaに潜入することができたのであった。
貸し衣装屋を発見
Maharlikaの地上3階には、確かに結構な数のレンタル衣装ショップがあった。中を覗いてみると、派手派手フリフリな煌びやかな衣装がたくさん。
一方、スーツを扱っている店はかなり少ない。フィリピンでも、スーツくらいは個人で所有しているのが普通なのだろう。
そんな中、ショーケースにスーツを飾っている店舗を発見。中を覗いてみると、10mくらいの狭い通路の両脇に、ぎっしり衣装が吊り下げられている。
試着室もあるので、着回しを確認することも可能だった。
「黒のジャケットとスラックスで」とお願いして、出てきたのがコチラ。スラックスの丈がやや足りなかったが、これ以上長いのは無いということで、妥協。
料金は上下合わせて1日レンタル1,200ペソ。またレンタルの際は、500ペソのデポジット(保証金)が必要とのこと。
ちなみに、衣装の買い取りも可能で、今回の場合は2点で4,000ペソであった。サービスで黒のネクタイも無料で貸してくれた。
スーツのクオリティ
お店では深く考えず、なんとなくで選んでみたスーツ。部屋に持ち帰った後、改めて観察してみる。
パッと見た感じ、シワや汚れはなさそう。お店にはアイロン台があったので、シワ伸ばしはしっかり行っているよう。
もっと細かく見てみると、ジャケットのボタン穴周りの縫製が雑。飛び出た糸があるが、ボタンを留めれば見えなくなるので、ギリギリOK。
スラックスの方は、あらゆるところで糸が跳ね回っている。内側の見えないところはまだしも、裾からはみ出た部分はカッコ悪いのでトリミング。
本当はライターで炙りたかったが、レンタル品なので、今回はハサミで切るだけ。結論、間に合わせのためならギリギリ許せるクオリティ。
素材はタグが無かったために確認できなかったが、ツルツルでペラペラだったので、間違いなくナイロン製だろう。
まとめ
今回はフィリピンのバギオで、スーツをレンタルした一部始終を紹介した。お店さえ見つけてしまえば、難しいことは何もなく、返却までも滞りもなく終了。
クオリティが良いとは言えないが、一式を買って揃えるより遥かに安い。ちょっとした集まり程度なら問題ないレベル。
お金が節約できたこと以上に、貴重な体験が出来たことは私にはプラスだった。
今後、バギオでスーツをレンタルしようと思う人がどれだけいるか不明だが、私の経験が参考になってくれればブロガー冥利に尽きる。あまり大手を振ってオススメは出来ないが…。
おまけ:靴を買う
ジャケットとスラックスの手配は無事に終了したものの、シューズのレンタルはどこにも見つからない。
現代的な、ジャケットとスニーカーを合わせたスタイルも無くも無いが、自分自身のセンスが伴っていないので見送り。素直に、無難な革靴風の靴を購入する。
靴は「何でも安い」で有名な” Tiong San”というショッピングモールの靴屋で購入。
見た目も履き心地も悪くなく、価格は499ペソ。
ジャケット、スラックス、さらにシューズで、今回かかった金額は1,699ペソとなった。