バギオの病院紹介シリーズ第2弾、今回は歯医者についてお伝えします。歯科に行く用事と言えば、虫歯・詰め物・クリーニング等色々とあると思いますが、今回は歯列矯正に挑戦してみました。
歯列矯正の始め方、その後の経過、そもそも歯科医と英語でやり取りなんてできるの?といった疑問を解消できるように、私の体験をお伝えしていこうと思います。
フィリピンの歯医者
まず、フィリピンでの歯医者事情について簡単に紹介すると、都市部に行くほど施設の数は増えます。下の地図はGoogle map上でバギオ周辺の「dental clinic」を調べたときの検索結果です。
見ての通り、街の中心部にclinicがいくつかあるのが分かります。よく日本の歯科医院はコンビニの数よりも多い…なんて面白話があったりしますが、ここバギオでもその傾向が見て取れます。
バギオの歯医者の特徴として、近い位置に密集しているというものがあり、雑居ビルの中、ショッピングモールの中に隣り合って3,4軒並んでいるという光景も珍しくありません。
診察・処置内容
フィリピンで生活するうえで身近になってきている歯医者ですが、その治療費は日本と比べると安く、虫歯や詰め物治療の場合では一般的に、処置1本700~1,000ペソ(約1,900~2,700円)と言われています。
ただ、治療の腕はまちまちといった感じでしょうか。私も何人かの留学生を歯医者に案内したのですが、詰め物をしたのにすぐ取れたというケースがありました。
そのケースは5,6人のうちの1人なので誰しもに当てはまるという訳ではありませんが、フィリピンでの歯の治療は応急処置程度に捉えておいて、本格的に治療がしたいなら日本に帰国してから実施する方が良いはずです。
そして、治療以外に歯列矯正を行うことも可能です。ただし、今のところはワイヤー矯正以外の選択肢は聞いたことがありません。これは金属とワイヤーが口を開けたときに見える昔ながらの治療法です。
後ほど金額の詳細は記載しますが、私が提示されたのは1年がかりの予定で50,000ペソ(約14万円)+αでした。日本での歯列矯正が60~100万円と言われているそうなので、この金額は破格ですね。
フィリピンでの歯列矯正事情
今でこそ日本で歯列矯正はスタンダードになりましたが、フィリピンではそれほど多くの人は実施していないようです。私の知り合いの中でも1割くらいの感覚でしょうか。
少し前、アジアの国ではワイヤー矯正を実施しているのは私生活に余裕がある証拠とされていたようで、ステータスを表す1個となっていたと言う話もあります。だから好んで見せつけていたとかいう話もあったりなかったり。
2024年の現在においてフィリピンでの歯列矯正は、もう少し身近になってきている感じはあります。
実録!歯列矯正してみた
ということで、フィリピンの歯列矯正がどのようなものか実際に体験してみました。私自身、歯医者は苦手で、実は学生のころから10年単位で行っていない人生を歩んでいます。
なので、もしかしたら虫歯とか歯周病とか別の問題を指摘される可能性に怯えながら受診しました。結論から言うと、幸いそれらの問題は無かったようで無事に歯列矯正をスタートしています。
今回、訪れた歯医者は私の上司の馴染みの場所になります。ドクターが非常に優しく患者に寄り添ってくれる先生ということで、その辺りは信用が置ける方でした。
こちらのクリニックは恐らく個人経営で、非常に小さいところですが施設はしっかりしています。学生さんから病院の紹介を依頼された際は、今までもコチラを案内していました。
予約
まず予約は電話で行います。クリニックに受付のようなものはなく、電話を掛けると先生に直接つながります。アシスタントも居るようでしたが、基本的には先生は一人で切り盛りしていました。
電話を掛けたのが当日の11:00頃、歯列矯正(Braces)がしたいという旨を伝えると、13:00に来てねということで予約が完了しました。フィリピンでは病院の大小にかかわらず、訪問前の予約は推奨されます。
問診
まず、病院に到着すると問診から始まります。大事なのはバギオにいつまで滞在するのかであり、私が「more than 1 year」と答えると、問題はありませんでした。
そもそも歯列矯正は年単位で行っていくものなので、通常の留学生であれば歯列矯正を始めるのは難しいでしょう。メンテナンス程度であれば可能かもしれません。
X-Ray(レントゲン)撮影
問診が終わりBracesの開始をお願いすると、次はレントゲンの撮影となります。先生のクリニックには装置が無かったので、他の歯医者でレントゲンだけ撮ってもらいました。
こちらはショッピングモールの中にある歯医者のX-Ray撮影装置と部屋です。「紹介で来ました~」と言うと名前と生年月日を書くログブックを渡され、テキパキと準備をしてくれました。
重量のあるエプロンを装着し、装置に顎を載せて前歯でプラスチックの部分を噛みます。そして、自動音声に沿って目を閉じていると30秒ほどで撮影は終了しました。
その後はプリンターでレントゲン写真を印刷してくれて終了、料金は1,000ペソでした。こちらの料金は日本の一般的な価格と比べて高いかもしれません。
そして、私のレントゲン写真が以下のものです。
見ても、ふーん…って感じですよね。ただ、分かる人には分かるかもしれない問題点、親知らずの向きが良くありません。ということで、親知らず4本の抜歯も提案されました。
30歳を超えるまで、この親知らずたちは何の悪さもして来なかったので自分は大丈夫だろうと思っていましたが、例に漏れず抜歯が必要でした。こちらもフィリピンで実施しようと思いますので、またその時に詳細をお伝えします。
クリーニング
さて、矯正に入る前に歯のクリーニングを実施します。歯垢や歯石の除去には日本でもよく使う、歯の表面をなぞるドリルのようなものと唾液を吸い込んでくれるホースのようなものを使います。
恐らくやり方は日本と変わらないですね、全く痛くはないものの歯に器具を当てている時の不快感は顕在です。クリーニング自体は30分ほどかけて実施されました。
歯型をとる
クリーニングが終わったら次は歯型をとります。先生が料理に使うようなボウルに赤い生地のような物を入れてスパチュラでかき混ぜ、十分に混ざったら歯のカバーのような物に詰めて歯に押し当てます。
最初はお好み焼きの生地くらいの固さなのですが、1分ほどですぐに固まりスッと外れました。これを上あごと下あごに分けて実施します。ちなみにこの生地は全くの無味無臭でした。
ブラケットの取り付け
いよいよ矯正器具の取り付けに入っていきます。まずはブラケットと言われる器具、ワイヤーを固定するスクエア型の金属を歯の1本1本に接着剤でくっつけていきます。
この作業は慎重に行わなければならないので、口には透明のマウスピースのような物を入れられます。これによって舌は固定され、口は完全には閉じられません。
まず上の歯の前面に接着剤が塗られ、歯の1本1本それぞれの位置を考えながらブラケットを押し当てていきます。この作業を上の歯と下の歯の全て実施、およそ45分間続きます。
その間、休憩は無しノンストップ、つまり口を開きっぱなしです。これほど長時間にわたって、口を開いていることもありませんので違和感が凄かったですね。
ただ、痛いとか苦しいとかいうことは無いので耐えることは難しくありません。私の場合はライトに反射している歯の様子を見て経過を観察したり、中盤は少しうとうとしそうになったりしていました。
ワイヤーの取り付け
ブラケットの装着が終わると、続いてはワイヤーを取り付けていきます。これが歯の位置を正す役割を持っているようで、歯を圧迫しているような感覚があります。
また、ワイヤーとブラケットは紐で結んでいくのですが、この紐の色は自分で選ぶことが出来ます。黒や茶色、青、ピンクなど様々な色があるのですが、自分の場合は濃い緑色を選びました。
所要時間はおおよそ30分ほど。全ての歯を結び終わると、ワイヤーを適切な長さに切断します。
その際にペンチを口の中に突っ込んで、バチンバチンと切るのですが、なかなかの迫力でした。ただ、破片が体に入らないように、ドクターは細心の注意を払ってくれていました。
処置が終了、最後に問診
歯列矯正の全行程が終了するまでに約2時間かかりました。いよいよ装置を付けられた歯との対面となります。ここに来ていよいよ始まるんだなという気持ちが湧いていきました。
この時点で痛みはなく、出血などもありません。ただ違和感をすごく感じます。この時点では、この違和感と付き合っていく絶望感よりも、この歳にして歯列矯正を始められた喜びの方が大きかったです。
最後にドクターと注意点などを確認して終了となります。その際に、「翌日から1週間は痛みが続くよ」と言われ、痛くなった箇所に塗る薬を処方されました。
後は、毎食後に歯磨きをすることや、出来ればフロスをすることもアドバイスされました。とにかく今まで以上に歯に対して気を遣って生活していく必要がありそうです。
フィリピンの歯列矯正の金額・費用
先述しましたが、今後歯列矯正自体の金額は50,000ペソ(約14万円)となります。今後の受診について、経過の観察とワイヤーの調整を月に1回行うようです。
初回の支払いは20,000ペソで、その後は月割で1,500ペソずつ払っていくとのことでした。ということは、20か月を目安に処置を終えられる、ということなんだと思います。
上記金額50,000ペソに歯ブラシ・塗り薬の500ペソ、当日のクリーニング代が1000ペソ、また、レントゲンを撮った際に支払った金額1,000ペソを加えるとトータルの総額は52,500ペソとなります。
接着剤でくっ付けているブラケットですが外れたり無くしたりする度に追加料金がかかるとの説明もありました。外れたら500ペソ、無くしたら800ペソの支払いとのことです。
この金額が適正かどうか確認するために、何人かのフィリピンスタッフに高いか安いか聞いてみたところ、まぁだいたいそんなものだろうという意見が多かったです。
なので、もう少し安いところもあるのかもしれませんが、私自身はこの金額で今のところは満足しています。
矯正開始後3日間の変化
矯正を無事に終えられた後、どんな風に日々を過ごしてきたか、記憶が新しいうちに書き残しておきます。
1日目(処置当日)
痛みは特になく、あるのは口内の違和感のみ。病院帰りにハンバーガーを買って帰るが、食べられないことに気づいて絶望。理由としては、噛んだ時に歯に痛みが走るのとワイヤーに引っかかるため。
結局、前歯で噛むことが出来ないため、奥歯で噛めるだけのサイズに分解して一口ずつ頂く。それでも慣れていないため、いつもの2倍くらい時間をかけて何とか完食、パンは無理だなと悟った。
他にドラゴンフルーツとマンゴーも購入していたが、ドラゴンフルーツの固さもややキツかった。また、種がたくさんあるので、矯正中には適していないことに気が付いた。
熟れたマンゴーは噛まなくても舌と上あごだけで細かくできるので、一番食べやすかった。この時は2個で100ペソくらいだったので日本よりも断然お得で助かった。
2日目
朝食は学校の食事。サラダ、肉のソテー、パンシット、スイカなどをチョイス。細かくカットして奥歯で収まるくらいの大きさで食べる、慣れていないのでいつもの2倍くらい時間がかかる。
なんとか食べ終わるも、口の中の違和感がワイヤーによるものなのか、食べカスによるものなのか分からず困惑。結論、どちらの要因もあったのだが、それらの線引きが分からないので結構ストレス。
歯磨きについてもYoutubeで動画を見ながら実践。歯磨きのやり方だけでもかなり参考になる動画がたくさんある。結局歯磨きもいつもの1.5倍くらい時間を要した。
昼ご飯は食べず、晩ご飯は昨日と同じドラゴンフルーツとマンゴー。実は矯正を見越して買っておいたものだが、次回からはマンゴーのみにしようと思う。
3日目
月曜日ということで、学校の食事が3食始まる。基本肉料理が多いフィリピンでは、噛み応えのある食事メニューが多い。食べるのに苦労するが、顎を怠けさせるわけにはいかないので頑張って食べる。
それでも完全に完全に噛み切ることが難しいので、今までの食事では考えられないくらい少ない咀嚼量で飲み込むようになった。キツいが食べられるだけまだマシ、学校の食事は美味しいので出来るだけ食べたい。
いくら食事を小さく刻んで食べるようにしても、毎食後5回くらい口をゆすがないと食べかすが取れない。毎食後、欠かさず歯磨き。リステリンなんかも買ってみて、今まで以上に歯の事を考えている。
大変は大変だが、不思議と嫌とは思わない。今までコンプレックスだった部分を直している訳だし、それを格安で実施できている。全然続けていけるくらいの余裕があるので、今後も頑張っていきたい。
まとめ
今回はバギオの歯医者で歯列矯正をしてみたレポをお伝えしました。行く前はかなり不安でしたが、ドクターも慣れた様子で滞りなく処置を行ってくれました。
日常においてある程度の不便を抱えているものの、まぁ許容できる範囲です。1,2か月すれば慣れてくるものとも聞きますので、その時を心待ちにしたいと思います。
今後、親知らずと生えちゃいけないところから生えている歯をどうするかは相談しながら検討しますが、もし動きがあれば、追ってお伝えしようと思います。