留学中、順風満帆に日々を過ごしていても、思わぬアクシデントに見舞われることがあります。
日本人留学生に多いのは、腹痛と下痢。症状がでたら、すぐ病院に行ってもらうようにしています。
しかし、こんなケースも…。

留学生
猫を撫でようとしたら引っ掻かれた!
実はこれ、かなり危ない状況です。
今回は日本人学生に起こった狂犬病のワクチン接種の実例を紹介しつつ、対応手順や費用感についてお伝えします。
狂犬病について
まず初めに、狂犬病の概要を知りましょう。
狂犬病とは動物が媒介する伝染病のことで、発症すると100%死亡すると言われている重病です。
海外で犬や猫に近づくべきでないのは、怪我よりも狂犬病に罹る可能性があるからなのです。

とは言っても、目の前の犬・猫が病原体を持っている可能性は極めて低く、感染・発症する確率も高くはありません。
それでも、致死率100%というのが脅威となっており、狂犬病の疑いだけでも放っておけないのです。

出典:厚生労働省 検疫所(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name47.html)
日本の飼い犬には、狂犬病ワクチンの予防接種が義務付けられています。そのため、身の回りで狂犬病のニュースを耳にすることはありません。
フィリピンでも予防接種は義務付けられています。しかし、それほど浸透しておらず、飼い犬・猫であっても油断できないというのが現状です。

2024年、フィリピンの狂犬病患者と死亡ケースは426件。
この数字を多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人によるでしょう。しかし、リスクが存在するということは認識しておかなければなりません。
ワクチン接種の事例
私はバギオの語学学校に滞在して1年以上となりますが、その期間で狂犬病ワクチン接種の対応を2件行いました。
2件の狂犬病対応の事例
学生A
(2024年5月)
市街のスーパーで買い物をしていたら、突然野良猫が近づいてきた。撫でようと思ってしゃがんだら太ももを引っ掻かれた。
学生Aのケースでは明らかな傷があったので、ワクチン接種が必要と一目で分かりました。
学生B
(2025年1月)
学校近くのサリサリストアで買い物中、くるぶしに違和感があった。振り返ってみたら子猫がおり、定かではないが、噛まれたか引っ掻かれたかしたかもしれない。
学生Bの場合、傷などは見当たりませんでした。それでも、ワクチン接種は必要だったのです。
どちらの学生も、まずは私に病院へ行くかどうかの判断を仰ぎに来ました。
でも、立場上「病院に行くべき」としか言えないんですよね…。👦「大丈夫だよ~」とか言って、死なれたら、責任の取りようがありませんから…。
個人的に、学生Bのケースは傷も無いしワクチン接種の必要はないと思っていました。

それでも、ドクターの診断で要接種となったのです。病院側も同じく責任は取りたくないですからね。
なので、狂犬病のワクチン接種が必要か考えている時点で、必須な状況に陥っていると言えます。
放置しておいて良いのは、絶対に発症しないという自信があり、自分で責任が取れる方のみとなります。
狂犬病ワクチン接種の流れ
ここからは狂犬病の疑いがある場合の対応についてお伝えします。
まず、初回のワクチン接種にはタイムリミットがあることを覚えておきましょう。リミットは、傷を負った瞬間から24時間です。
- 接触後傷口の洗浄・消毒
すぐに自分で実施
- 当日中問診、ワクチン接種1回目
※24時間以内
- 3日後ワクチン接種2回目
- 1週間後ワクチン接種3回目
- 2週間後(ワクチン接種4回目)
- 4週間後(ワクチン接種5回目)
なぜ24時間以内なのか、おそらく免疫反応か何かのはず。私は専門家ではないので細かい事情の説明は控えます。
24時間とは言うものの、早ければ早いほど効果的なのは間違いありません。休日・夜間問わず、急ぎ対応しましょう。
下記、バギオにあるセントルイスという大学病院での狂犬病ワクチン接種の情報です。

1st Consultation Anytime ANYTIME
つまり、1回目のワクチン接種は24時間いつでも対応可能ということ。
succeeding vaccinations 8AM-4PM DAILY
先述の通り、狂犬病のワクチン接種は1回で終わりません。その後期間を空けて、何度か受診する必要があります。その数、3~5回。
初日・3日後・1週間後・2週間後・4週間後と、最長で1か月もかかるのです。
ただ、3~5回の幅については、症状やワクチンの種類によって異なるのか、詳細は分かりません。
※5回の接種が必要だったケース(学生A)

※3回の接種が必要だったケース(学生B)

学生Aはノートルダム病院を利用し、5回接種。学生Bはセントルイス病院を利用し、3回接種しました。
全てのワクチン接種は基本的にフィリピンで完遂しなければなりません。なぜなら、日本ではワクチンの在庫が十分に無いからです。
もともとの帰国予定日までに終えられない場合、フライトを変更してでも接種する必要があります。
病院受診方法
もしワクチンを接種するとなったとき、下記の方法で病院を受診しましょう。
- ジャパニーズヘルプデスクを通して予約
※平日日中のみ
※海外旅行保険の適用が必須 - 予約無しER(緊急対応)で受診
※24時間対応
ジャパニーズヘルプデスクを通して予約
バギオにはジャパニーズヘルプデスクと提携している病院があります。市街にあるノートルダムホスピタルです。
相談はLINEで可能。日本人のスタッフが予約を代行してくれ、待ち時間を最小限にしてくれます。また、ノートルダム病院に在庫が無ければ、近隣の病院を紹介してくれます。
【お知らせ📢】
— Japanese Help Desk Philippines (@jhd_philippines) June 3, 2024
LINEで診察の予約が可能となりました!
JHDフィリピンのLINEアカウントを登録して、メニューの「受診予約」をタップしてください。
必要項目にご回答いただきましたら、予約の手配をさせていただきます。
ぜひご利用ください!#マニラ #セブ #バギオ #フィリピン医療 #海外病院 pic.twitter.com/PzUCLEftvD
受診時は、日本語が少し話せるフィリピン人スタッフが付き添ってくれます。なので、英語に自信が無くても安心です。
ただし、ジャパニーズヘルプデスクの利用には海外旅行保険の適用が必須で、対応可能時間は平日日中のみとなります。
【お知らせ📣】
— Japanese Help Desk Philippines (@jhd_philippines) May 6, 2024
クレジットカード付帯の海外旅行保険をお持ちの方は、キャッシュレスで受診が可能です。
ただし、カード会社によって不可の場合がございますので、キャッシュレス受診をご希望の場合は、必ず事前にカード会社にご連絡をお願い致します🙇♀️#マニラ #セブ #バギオ #海外病院 #海外医療 pic.twitter.com/FnZCRWNSNS
予約なしでフィリピンの病院に行くと、長時間待つことが多いので、可能な限りジャパニーズヘルプデスクを通すことをオススメします。
予約無しER(緊急対応)で受診※24時間
休日対応もしくは海外保険に加入していない場合、現地の病院に予約無しで行くしかありません。
基本的にはER(Emergency Room)と言われる緊急対応の部署が窓口となります。


日本で言う夜間救急が常に空いているような感じで、緊急搬送されてきた患者も対応しています。
傾向として、待ち時間がめちゃくちゃ長いです。3~5時間普通に待つので、余計に具合が悪くなってきそうです。
ワクチン接種1回目の流れ
1回目のワクチン接種は下記の手順で行われます。
- トリアージで問診
順番待ちの申請。重症患者から優先されます
- 問診票の記入
学校の住所や連絡先も確認しておきましょう
- 医師との問診
傷口と状況の確認、アレルギーの有無を聞かれます
- ワクチン接種
注射の時間。1発では無く複数回接種します。
- 再受診の案内・精算
海外旅行保険のキャッシュレス決済以外では、精算が必要(後述)
ワクチンは1回で4,5本接種します。受ける場所は両肩と両足の4か所付近になることが多いようです。
おそらく筋肉注射になるので、痛みもそれなり。ただ、死ぬかもしれないという瀬戸際です。歯を食いしばって耐えるしかありません。
経過観察・注意事項
1回目の接種が終わると、次の通院予定のメモやワクチンカードが貰えます。3~5回の接種予定が記載されているので、日付を守って再受診するようにしましょう。
また、ワクチンカードには狂犬病の疑いのある症状が下記のように書かれています。

狂犬病の疑いのある症状
- Headache and fever
頭痛と発熱 - Numbness of bite site
傷跡のしびれ - Delirium and paralysis
意識障害と麻痺 - Muscle spasms
筋肉のけいれん - Hydrophobia and aerophobia
水が飲めない、息が吸えない
上記の症状が現れたら、すぐさま病院に向かいましょう。
また次のワクチン待ちの期間に意識すべき生活習慣も書かれています。

★避けた方が良い食品
たまご・鶏肉・魚介類・加工肉・缶詰・麺類・ジャンクフード・アルコールなど
★食べるべき食品
豚肉・牛肉・野菜・果物
たまごや鶏肉がダメで、豚・牛肉がOK。少し不思議な感じがします。
他には加工品やジャンクフードなど、いわゆる健康的でない食事も避けるべきとのことです。
狂犬病ワクチン接種の料金
1回目の狂犬病ワクチン接種にかかる料金は下記となりました。
(2025年1月現在 セントルイス病院にて)

3,119.47ペソ(約8,421円)
(内訳)
器具備品代:96.06ペソ
ER室利用代:1050ペソ
薬品代:1,848.41ペソ
ドクター手数料:125ペソ
初診料は取られていないので、3回の接種が必要となれば、この額の3倍になるはず。3回分の合計金額は、約9,360ペソ(約25,000円)となります。
この方の場合は、クレジットカード払いで一旦料金を建て替えておいて、帰国してから保険会社に請求するという方法を取ることが出来ました。

日本で事前に予防接種を受けるとなると、数回の接種で5万円ほどかかると言います。
安心を買うという意味で、日本で事前に予防接種するのは良いかもしれませんが、やはりお高い…。
日本の金額と比べると、フィリピンの料金は割安に感じます。
さいごに…
今回は、フィリピンの病院で狂犬病の緊急対応を受けた実例をお伝えしました。
詳細に記述してきましたが、まず第一に病院を受診する状況にならないことが一番大切です。

年間数百人の学生が来る英語学校でワクチン接種を行ったのは2人。
少ないように感じますが、決してゼロではありません。もしかしたら、本人がことの重大さに気付かず、放置しているケースもあるかもしれません。
とにかく私が言いたいのは1つ。

フィリピンで、犬や猫には近づかないで!!
動物を愛でるのは日本に帰ってからにしましょう。せっかくの留学期間なのに時間もお金も取られ、痛い思いをするのはあまりにもったいなさ過ぎます。
まず、近づかない。向こうから寄ってきても距離を置く。これらを心がけて楽しい留学生活を実現させましょう。