バギオの雨季・台風の季節

フィリピンの7、8月は雨期となり、バギオも雨がちで気温が少し下がる季節です。そんな中、2024年7月下旬、大型の台風「カリーナ」が接近し、フィリピン全土に大きな影響を与えました。

こちらの台風は今年(2024年)に入って初めて、学校が休校になるくらい甚大なもので、学校関係者としてはかなり対応に追われました。その当時の様子について振り返りながらお伝えします。

バギオの季節

簡単にバギオの季節・シーズンについておさらいします。フィリピン全体を通して、一般的に1年は乾期と雨期に分けられると言われています。

12月~5月が乾季6月~11月が雨季というように分けられ、どちらのシーズンにフィリピンに来るかによって過ごし方は大きく異なってきます。

気象庁地点別平年値データ・グラフ https://www.data.jma.go.jp/cpd/monitor/climatview/graph_mkhtml_nrm.php?n=98328&y=2022&m=4&s=1&r=0&e=7&k=0

また現地では雨季と乾季のほかに、実は「」の時期があると言われており、乾季の終わり(5月)から雨季の始め頃(7月)までがフィリピンで最も暑い時期となります。

この時期は確かに過酷な気温となり、マニラやクラークなどは日中の気温が40度を超えるくらいの猛暑となります。バギオでも日中は30度に迫る暑さを記録していました。

こうなってくると命の危険もあるということで、猛暑のために学校を休校にする、といった措置が政府によって取られます。幸い、バギオはそこまでの暑さにはならないため、この点は安心です。

フィリピンの夏に現れる脅威

ただし、この時期に現れる脅威が「ガムガモ(ガモガモ)」です。エアコンがなく、窓を開けファンを回して涼をとるのが一般的なバギオですが、そこに現れて家に侵入してくる厄介な害虫です。

何の前触れもなく、ある日突然に数千匹のガムガモたちが、明かりを求めて襲来して来るので、恐怖そのものです。こちらの脅威については以前のブログで詳細に説明しています。(虫が苦手な方は閲覧注意)

2023年の8月末から2024年の2月までバギオで6か月留学し、同年3月から日本人スタッフとしてバギオに滞在し続けている私としては、ベストシーズンは10月から2月であると考えます。

もし、留学期間を自分で決められる余裕のある方は、私が思うベストシーズンに来て頂けると快適に過ごすことが出来るかもしれません、のでよければ参考にしてみてください。

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台風の影響

話しを台風に戻します。日本でも多くの台風が7~9月に観測され、ときには大きな被害をもたらすと思うのですが、それはフィリピンにおいても同じです。

日本に影響をもたらす前に東南アジアの国々を通過し、時には勢力を強めながら北上していきます。つまり、フィリピンの雨季は台風と隣り合わせの時期となるわけです。

そんな台風ですが、ここバギオでは日本と少し異なる影響を受けます。一般的に日本の感覚だと、台風が接近してきたとき、強風域や暴風域に入ったらヤバイとなるはずです。

一方で、バギオにおいては接近や直撃をしなくもかなり影響を受けます。例えば、下記は2023年の8月末に観測された台風です。

ご覧の通り、台風はフィリピンよりさらに北に位置し、台湾に接近しています。それでも、ここバギオでは1日中雨で、この時は1週間ほぼ降りやむことなく続きました

この理由なのですが、台風に向かって南方から湿度の高い風が吹き込むためです。さらに、バギオの北側にある高い山脈が雨雲を形成しやすいという面があり、大きく影響を受けます。

このため、台風が過ぎ去ったとしても強風や豪雨に悩まされることが多くなるのです。これは山あいに位置するバギオに特有の現象で、マニラやセブはもう少し違った状況であると聞きます。

この1週間中ずーーっと雨というのが、留学初週に続いたので、当時はかなり絶望していました…。この時の様子は初期のブログ記事にて赤裸々に語っています。後にすぐ天気は回復したんですけどね。

台風「カリーナ」襲来

さて本題の台風カリーナについて、フィリピン全土に大きな被害をもたらしたのが7月23,24日だったのですが、バギオの観光情報サイトが初めてその危険性に言及したのが下記の投稿になります。

7月22日朝時点の情報になりますが、気象予報図を見ると、渦を巻いている雲がフィリピンの東側辺りにあり、位置的には既に通り過ぎようとしています。

この台風は最終的に日本方向にはいかず、台湾に向かい中国方面へ抜けていきます。既に通り過ぎ去った台風に注意が必要であることが良く分かるかと思います。そして、バギオでは…

現地バギオでは22日の朝からある異変が起こります。それは異常な寒さです。バギオの朝晩は結構冷え込むのですが、それでも普段は長そでを着ていれば何とかなる程度。

それが、パーカーを羽織っても寒く、指先がかじかんでいるのを感じるほどです。2月の一番寒かった時期を体験した私でも、その時と遜色ないくらいの寒さでした。

明らかに何かおかしいなと思いながらも、天気はそこまでひどくなく通常通り授業は行われました。そんな状態が2日間くらい続いており、この時は台風の脅威などは微塵も感じていませんでした。

そして7月24日、バギオ政府から下記のような情報が発信されます。

休校になった7月24日

WALANG PASOK」これは、現地の言葉で臨時休校を指示する通達です。フィリピンに滞在していると、台風や大雨、猛暑などいろいろな理由で発令されているのを見る機会があります。

ということで、私の所属している語学学校もこの日は休校となりました。授業も無く、外出もできない中で、学生を校舎の中に留めるというのは心苦しいですが、状況が状況なので仕方ありません。

フィリピンのインフラは脆弱なので何度か電気の供給が絶たれましたが、学校は校舎全体をカバーできる発電機を持っていたので電源の確保は問題ありません。水道も通常通り利用できます。

また、幸いキッチンスタッフは出勤してくれていたので、学校側も通常通りに食事を3食提供できました。生活周りの不便はほとんどなかったというのが、本当にありがたかったです。

ただ、1つ問題が発生します。この週は卒業式を控えており、卒業生は空港までのバスチケットを購入するためにバスターミナルへ行く必要があります。

そこで、センター長の許可を得て学生と一緒にバスターミナルまで行ったのですが、経験したことの無いくらいの雨でした。その時の映像がこちらになります。

こんな様子だったので、バギオからマニラに行くまでの道中で通行止めが起こっていないかと確認をしたところ、キャンセルの予定は無いとのことでした。

山に囲まれたバギオでは道が一本封鎖されただけで、市外に出るのは困難になります。今回の台風では、幸いにも大きな問題はなく、結果的には無事に卒業生を送り出すことが出来ました。

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通常通りの授業を行うも…。7月25日

前日から引き続き雨風の様子は変わらず、ほんの1分外に居ればびしょ濡れになる天気です。ただ、この日は学校のマネジメントの判断により、授業が決行されました。

決行した背景にはいろいろな事情があったのでしょう、先述した通り卒業をひかえる生徒もいたので、なるべく休校としたくないための判断もあったのだと思います。

ただ、考慮しなければならないのは先生たちの通勤手段です。基本的にフィリピンにおける公共交通機関はジプニーと言われる、乗り合いバスのようなもの一択になります。

多くの学校や企業が臨時休業、さらに雨と風で道路のコンディションが良くないとなれば、お客さんもそれほど多くなく、便数が大幅に減ることは明らかです。

その結果、学校の連絡網には十数人の講師の欠席連絡が並び、中にはそもそも連絡がつかないような状況も発生しました。となるとやはり、授業は通常通りには行えませんでした。

「先生が教室に来ていない」、「欠席の連絡が回っていない」などの声が上がり、現場は対応に追われることになりましたが、何とかこの日を乗り越えようと、授業に来てくれた先生たちには頭が上がりません。

ちなみに学校の外の状況はこのような感じ。

一方、街中のマーケットでは大雨にも限らず、変わらず元気に営業している姿が目撃されるなどしています。商魂たくましいですね。

まとめ、後日談

この台風カリーナは台湾を抜け、中国の方へ消えていきました。バギオにいつも通りの天気が戻ってきたのは7月27日(土)で、月曜から始まり5日間まるっと影響を受けていました

このように、接近してきてから通り過ぎた後も強く影響を受けるのがフィリピンの雨季になります。日本の台風シーズンが9月頃まで続くように、その辺りまでは油断が出来ません。

雨期は雨が多いのはもちろん、台風の脅威にさらされることから、個人的にベストシーズンの反対のワーストシーズンと言って差し支えない気がします…。もし留学の時期を選べるなら避けた方が良いかもしれません。

ただ、幸いにも私たちの学校には学校全体をカバーできる発電機(ジェネレーター)があったので、電力会社の停電となっても、まだ快適に過ごせました。もし、学校の選び方に困っていたら、発電機の有無を判断材料にしても良いかもしれません。

このブログを書いている時点では、まだ8月上旬で台風シーズンは始まったばかりです。今後の動向に注意しつつ、また大きな影響を受けることがありましたら、報告します。それでは!